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「すいません!俺…
新しい物と取り替え―…」
「大丈夫ですよ」
俺の言葉を遮るように
女の人は微笑んでそう言った
「…へ?」
「落ちちゃったけど
まだ食べられるでしょ?
だから大丈夫ですよ」
「あ、ありがとうございます」
彼女の優しさに甘えて
ケーキとかいろんな物を
袋に入れ、それを渡す。
「あの…、
本当にいいんですか?」
「気にしないで」
彼女が微笑んでそう言うから
俺も釣られて笑顔になる
よく見るとその女の人、
妊娠しているようだ。
「荷物重いけど、持てますか?」
「えぇ、旦那が車で
迎えに来てくれているんで」
「そうですか…
体に気をつけて下さいね」
「ありがとう。
あなたも頑張ってね」
それだけ言うと手を振って
店から出ていってしまった。
「…」
俺は閉ざされた自動ドアを
ぼーっと見つめる
すごい、優しい人だったな。
女性って言う感じがした。
あんな人がお母さんになる
お腹の子供が
凄く羨ましく思えた
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