3/3
前へ
/16ページ
次へ
数分前。 俺は学校に行くため、家を出た。 そして清々しい気持ちで校門をくぐろうとした寸前で清々しい気持ちは吹き飛んでしまった。 原因は目の前にいるこいつのせいだ。 いや、こいつではない。女王様でした。 「ほら、言ってごらんなさいよ」 「…おはようございます、木下様」 「おはよう、有村君」 微笑みながら言う木下はまるで女神の微笑みと間違えるほど、木下の口から出る言葉はとてつもなく酷いものだ。 「あら、どうしたのかしら?さっきまで元気そうにしてたのに、今は顔色が優れないわ」 お前のせいだ!!!、と心の中でおもっきり叫ぶ。 「まぁ、いつも有村君はそんな人だから大丈夫ね」 「はぁ!?いつもそんな人ってどう思っているんだよ!」 「有村君は、元気な時は指にペンで顔を書いて嬉しそうに指さんとお話しする。気分が悪い時は全部の指に顔を書いて指さん達に励ましてもらうんでしょ?」 「なッ!?誰がそんなガセネタ流した!そんな痛いことしたことねぇよッ!!」 「あら、有村君。そんなに恥ずかしがることないのよ?有村君にとって指さん達は大切なお友達なんでしょう?」 「だから、違うって!」 「えっ?友達じゃないの...?」 本当に意外と言わんばかりの表情で言う木下。そして声のトーンを下げて、悲しい声で言った。 「可哀想に…。せっかくこんなにとても痛い有村君の為に指さんは友達になってあげたというのに、有村君って人は酷い人だったのね」 「…なんで俺が指より下で、それに酷い奴になれちゃったの!?」 「なら、認めなさい」 腕を組ながら、にっこりした顔で悪魔の呪文を言った。 「僕、有村陸はとても大切な友達がいます。それはこの指さん達です。こんなどうしようもない僕の為にいつも励ましてくれていつも感謝してます、って」 拝啓、学園の皆様. なぜこんな女神を偽った悪魔を尊敬しているのでしょうか? 俺にはよく分かりません…。 登校するだけで、木下と話すだけでも疲れ…いえとてもいい学校生活が過ごせそうです。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加