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早雪は片付けが終わると原田がいる縁側へ行った。 「原田…さん…?」 早雪が後ろ姿に声をかけたら別の人だった。早雪の声に驚いた人。 「私は…斉藤だが…」 早雪も驚いた。少し優に似ている。が優よりは全然、男前だ。しかし、同じ着物の色だけで声をかけたのはマズかった。 「ごめんなさい!間違いました…」 早雪は斉藤に謝ると斉藤は微笑んだ。 「気にするな…」 斉藤は早雪に言って、早雪は苦笑いした。皆、優しい人ばかり。 「早雪ちゃん」 原田は縁側の向こうから声をかけてきた。 「原田さん!」 「ごめん!今、副長に呼ばれて部屋へ行ってたから~」 そう言って早雪に謝ると早速、団子を出した。 「はい!早雪ちゃん、団子。これで許してね~お願い!」 原田はニッコリ笑って早雪に団子を一本渡した。それを聞いた斉藤は可笑しくなり笑った。 「あの日の事か…」 斉藤は原田に聞いて笑った。早雪は原田が呼ばれた相手が副長と言ったのが気になった。 「今頃、起きたのか…朝帰りの土方め…」 早雪は団子を食べながら呟くと原田達は早雪が土方を呼び捨てにしたのを笑った。 「土方さんはあの通りの男前でモテるからなぁ~」 原田に言われ早雪はちょっとイラっとした。 「でも…半分以上は仕事だな。」 斉藤がそういうと原田が笑った。 「俺は嫌だね~、あんな事出来ねぇ~よ~。女とは一緒に楽しむものだろ~」 原田がそういうと早雪は急に夢を思い出し、縁側を立った。 「原田さん…ごちそうさま」 早雪はそう言って勝手裏へ走って行った。斉藤は原田に言った。 「原田さん…彼女の前ではその話はやめましょう。」 そう言って斉藤は縁側を離れ、早雪の後を追った。 「あちゃ~、忘れてたよ~」 最近では早雪は土方の言った「異国の女郎」ではなく「普通の女中」と思われていた。 総司が「普通の女中と接するように」と言っていたからだ。 土方は総司のしてる事には何も言わなかった。理由を知っているからだ。 なので原田もつい、その事を「女郎」を忘れていた。 「総司に怒られるなぁ~」 原田は苦笑いして頭を叩いた。
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