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早雪がしばらく俯いていると土方は煙管に火を付けて話始めた。 「総司も話を聞いて、気付いたとは思うがお前が話したくないと思って聞かなかっただけだと思う。あいつは優しいからなぁ。けど、俺は違う。お前の態度が気になったからなぁ…」 早雪の目から涙が流れた。一番、知られたくなかった人達に知られている。土方は早雪の涙を見るがそのまま話した。 「俺は男だから、女の気持ちはわからない…ツラい事だったとは思うけどよ…だけど…」 土方は煙管を置き、早雪の顔を上げて早雪の目を真剣に見た。 「死にたくない、何でもするなんて、もう誰にも言うな!」 早雪は土方に言われて、更に涙が流れた。本当は一番、言われたかった事だった。誰かにやめろと言われたかった。それを土方は言ってくれた。 土方はそっと早雪を抱きしめて言った。 「お前の心も体も好きな男の為にあるんだ、簡単に誰にでも許すなよ…」 土方は優しく早雪の頭を撫でた。 「……はい…」 早雪はそう言って土方の厳しくも優しい言葉で心の全てが救われた。 「土方さん…ありがとう…」 早雪は全てをわかってくれた土方に心から感謝した。
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