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近藤の部屋へ行く途中で早雪は「絶対に、しゃべるな。警戒しろ」と土方に言われて部屋へ入った。 「その子が、異国から来た娘さんか…?」 「早雪と言います。」 土方は近藤に言って早雪は黙って近藤に頭を下げた。近藤は早雪を舐めるように見ていて、土方はそれを黙って見ていた。 「ふ~ん。やっぱり、異国の娘さんは違うね…頭を上げてよ…」 そう言って近藤は早雪を気に入ったのかニッコリ微笑んで早雪の顔を見た。早雪も頭を上げて近藤を見た。 「源さんよりは若い人だなぁ…でも綺麗な人だ。優しい人オーラが全身から出ているし、いい人みたい。なぜ土方さんはあんなに警戒しろって言ったんだろ…?」 早雪はそう思って近藤に微笑んでいると近藤の微笑みが急にニヤリと変わって早雪は怖くなった。そう、早雪は最初の視線には全く気づいてなかったのだ。土方はそれに気付いた。 「歳、その娘に話があるから置いていけよ。」 近藤は土方にそう言って早雪を見ていた。土方はまさかと思い近藤を見た。 「ヤバい…近藤さん…本気か…?異国の女だからか?」 土方はちらっと早雪を見ると顔色が変わっていて、少し震えていた。 「マズイな…、コイツ気づいてなかったのか…?」 土方は早雪の腕を掴んで近藤に言った。 「すぐに仕事があるから無理ですね…それに」 土方は早雪の方を見ると、早雪は怯えた目で土方を見た。 「俺の小姓と言ったでしょ?」 土方は早雪から目を移し近藤にニヤリと笑って早雪の腕を掴んで部屋を出ようとした。 「なんだよ…早く言ってくれよ…もう、歳のお手つきか…なら、仕方ねぇよなぁ…」 そう言って近藤は早雪を諦めたようだった。土方はホッとして早雪を連れて部屋を出た。 「じゃ…失礼します。」 土方は早雪を連れて自分の部屋に行った。 「落ち着くまで、ここにいろよ…」 そう言って震えてた早雪の腕を離すと土方は煙管に火を付けた。 早雪は土方の煙管の匂いで少し落ち着いてきた。 「俺は、お前に警戒しろと言ったよな…」 そう言われ早雪は土方を見ると土方の目からは鋭い視線が向けられていた。
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