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一週間後、約束通り日本の家を訪ねると、そこには二人の姿が。
「あ、アメリカ…」
「こんにちはアメリカさん」
イギリスと日本だ。
何やら楽しげに話していたようだったが、襖を勢いよく開けた音に驚いてイギリスは湯飲みを両手で持ったまま硬直している。
一方日本はいつものことのように穏やかな笑みを絶やさない。
「あれ、もう来てたんだ」
「あ…あぁ、昨日から泊まらせてもらってたからな」
「ふーん…」
目を反らして気まずそうにするイギリスの様子にアメリカは胸の中に広がる黒い靄を感じた。
けれどそれを悟られないように不機嫌な表情を顔に貼り付けてイギリスの隣へ少し距離をあけて座る。
どん、と腰を下ろした衝撃で床が揺れるのと同時に、同じくらいイギリスの肩が大きく揺れた。
イギリスと日本の仲は妙に親密だ。
もうとっくに戦前の同盟は反故にされているというのに。
それが更にアメリカの気分を沈めていく。
とりあえず気分を持ち直すために、アメリカは今日来た用件をアメリカの分のお茶淹れ始めたを日本に話す。
「ねぇ、その新作ゲームってやつ、人が揃ったんだから早速やらない?」
「いえ、あとフランスさんもお誘いしているので。もう暫くくつろいでいてください」
「え、フランスも…?」
思わず調子外れの声が出る。
フランスも誘われているだなんて聞いていない。
更に渋い顔になったであろうアメリカにやはり日本は笑みを浮かべた。
不機嫌なアメリカに笑顔の日本。
そんな不穏な空気に堪えかねたのかイギリスが妙に明るい調子で話し始めた。
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