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『センター』の建物は、コンクリートの打ちっぱなしで、ところどころ鉄骨が剥き出し。無機質で、閉鎖的な感じがする。
この建物の廊下には、所々に水道が備え付けられている。そのせいか、空気全体が少しカビ臭かった。
躊躇いながらドアを開く。ギイイ、と嫌な音を立てた。
「君、新しい子だな?」
「う、わっ!」
いきなり目の前に女の子が立っていた。俺よりも、頭ひとつ分くらい小さい。大きなくりくりの瞳で見つめられた。
眉上で切られた前髪。耳の上で髪を二つにしばっている。色は金色。
耳には、大きな赤い球に、雫のような形のプレートがぶら下がったデザインの飾りをしている。
首には首輪が、両手には同じ形で、少し小ぶりなものがつけられていた。
「君は何でここに来たんだ?」
「何でって、馬鹿だから?」
俺は苦笑して答えた。
「いや、そうじゃなくてだなぁ」
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