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何が起こったか分からなかった。分かったのは体下にぶつけた感覚とエースが肩を掴んでいるのを痛い、と思ったことだけ
「エ……エース?」
「ねぇ、じゃあさ、オレが死にたい、って言ったら一緒に死んでくれる?」
さっきみたいに真剣な顔をするでもなく、いつも通りの爽やかな笑顔で言われて一瞬何を言われているかわからなかった
「…え?」
「ね?なんならオレがキミを殺してあげようか?」
「っ…」
肩を押さえていた手で首を掴まれる。とっさに腕を掴んで引き離そうとしたけれど力が強すぎてびくともしない
「…エ………ス」
「大丈夫。オレも後で逝くからさ」
呼吸ができなくて掴んでいた腕から手が滑り落ちる。さっきよりも視界が霞んで、エースの顔が見えなくなっていく
最期くらいもう少し恋人っぽいことしてほしかった。でもいいか。あなたの手で最期が迎えられるから…
あぁ、でもこれだけは伝えたい
本当は動かすのもままならない腕を動かしてエースの頬を撫でる
そしてどうしても伝えたい言葉を口にする
「…、、…、……、…、…」
「…アリス」
声は出なかったけど伝わったか、な?
…………
………
……
.
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