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帝王戦争初期に滅亡した古代ランス諸文明。生き残った者達も、当時の統治者の政策により、その文化を悉く喪失していった。
その中にあって、言語だけは生き残っていた。ランス大陸の北東に位置するロジエ・ルタ共和国。女帝ハルモース・メイロスの時代にクラディナの支配下にあった同地域は、だいぶパスク化したその生活様式の中、唯一言語のみを異にしていた。永らくクラド語の方言とされていたロジエ語は、近年の研究により、北大東洋の他の言語(我らが旭語もその類に漏れず)と異系統である事が突き止められた。発祥を異にする特異な語彙の量がその証拠である。文法はパスク系であるが、これはクラディナ支配の影響と考えられる為根拠とならない。
さて、ランス民は何処から来たか。同地域の遺蹟における研究により、恐らく大陸中央部のローモ盆地であろうとされている。この地の言語は解読すら進んでいなかったが、同じ文字が大陸全体で発見されている為に、ランス民の言語の原型はこのローモの言語であろう。そこまでは推測が出来ていた。だが、肝心の解読が全く出来なかったのである。
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