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この騒ぎの原因は……
「兄貴! 何、乙女の部屋に入ってんだよ!!」
「お前のどこが乙女だ!! 猿の間違いじゃねぇのか!?」
……この兄妹のせいであった。
未だに、二人の喧嘩は止まる様子がない。
しかも、どんどんエスカレートして行き、物までも投げ合う勢いだ。
ガチャ
「Shut up!! キサマら、ウルサイ!! ダマレ! メシ抜キに、すんゾ!!」
そこへ片言の怒鳴り声が、飛ぶ。
喧嘩をしていた二人も、ピタッと止まる。
そして、ドアの方を向き、声を合わせて言う。
「ママン」「母さん」
ドアには、青筋を立てた母がいた。
腕を組み、碧い目で、ギロリと二人を睨む。
その目を見て、二人は、慌てて手と手を取り合った。
「兄貴、ごめんね」
「いや、俺こそ、すまん!」
そんな二人の姿を見て、母は満足して微笑んだ。
「下ニ、メシあるかラ、さっさト、食いやガレ」
柔らかな笑顔に合わない口調で、母は栗色の髪を靡かせながら、部屋を出て行った。
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