第壱章

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    この騒ぎの原因は…… 「兄貴! 何、乙女の部屋に入ってんだよ!!」 「お前のどこが乙女だ!! 猿の間違いじゃねぇのか!?」 ……この兄妹のせいであった。 未だに、二人の喧嘩は止まる様子がない。 しかも、どんどんエスカレートして行き、物までも投げ合う勢いだ。 ガチャ 「Shut up!! キサマら、ウルサイ!! ダマレ! メシ抜キに、すんゾ!!」 そこへ片言の怒鳴り声が、飛ぶ。 喧嘩をしていた二人も、ピタッと止まる。 そして、ドアの方を向き、声を合わせて言う。 「ママン」「母さん」 ドアには、青筋を立てた母がいた。 腕を組み、碧い目で、ギロリと二人を睨む。 その目を見て、二人は、慌てて手と手を取り合った。 「兄貴、ごめんね」 「いや、俺こそ、すまん!」 そんな二人の姿を見て、母は満足して微笑んだ。 「下ニ、メシあるかラ、さっさト、食いやガレ」 柔らかな笑顔に合わない口調で、母は栗色の髪を靡かせながら、部屋を出て行った。
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