1.初見

2/5
前へ
/5ページ
次へ
「柚ー!!そっちいったよー!!」 「まっかせてくだ、さああっい!!」 コートの場外へと飛んでいくボールへと向かって全速力で走っていく。 「っとりゃあああ!!!」 真っ白なボールへと思いっきり右腕を伸ばした。 指先まで必死に伸ばしたら、ビキビキって指が突っ張った。 ボールが床に触れる寸前、指先を滑り込ませてなんとかボールを上げた。 やった、と上げられたことへの喜びで、つい受け身をとるのを忘れて顔面から床とこんにちわした。 「っのわあああああ!!!」 「ナイス!柚!」 わあわあとコートがまた騒がしくなった。 え、この状態の私シカト? まさかの放置に泣きたくなったけど、いつまでもこうしているわけにもいかないから、両手をついてぐっと上半身を起こした。 それと同時に、ポタッと右手に生温い感触が走った。 まさか、と思ってそれを凝視すると想像通りの赤い点々が広がっていた。(あ、また増えた) とりあえず奇声を発した。 _
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加