~一章~

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西暦2061年 4月、人々があの過ちを犯してから8年目、此処、龍剣技術学園(リュウケンギジュツガクエン)は入学式を無事に迎えていた。何故、入学式ごとに「無事」などという言葉が使われるのか。疑問に思う事だろう。今年の入学生には、大人を信じない子供、所謂(いわゆる)「不良」が数人入って来たのだ。たかが数人と思うが、この者達はかなりの剣の腕前で大人ですら彼らに勝つのは難しいと言われているほどなのだ。で、話は戻るが、無事に入学式が終わり入学生は各自あてがわれた教室に入って担任が来るのを席について静かに待っていた。そう、あの数人を除いては、  「メンドイ、帰る」  「おいおい、早過ぎんだろ」  「そうそう、せいぜいセンコーの顔ぐらい拝もうぜ」 教室の窓側に集まっている数人の者のうちリーダーと思わしき子が言葉を発した。その者の様子は黒髪の腰まであるストレートの長髪に黒曜の瞳、一瞬、女と見間違えそうな程の女顔。その名を龍星院 朱華(リュウセイイン シュカ)という。学園では訳があり分家の名字である龍院(リュウイン)と名乗っている、後に訳を話すのであえて此処では伏せよう 朱華の次に言葉を発した者は赤茶色の短髪、所々跳ねている。瞳は桔梗(キキョウ)の色をしている。朱華とは中学からの友達だ。名を鳳 椿(オオトリ ツバキ)という。 その椿の横に居る者が最後に話した者だ。漆黒の襟足が少し長めの髪に黒曜の瞳。椿とは幼馴染で朱華や他の者とは中学から絡んでいる。名を雪村 羅唯(ユキムラ ライ)という  「朱華、この後センコーから寮の鍵貰わねぇといけねぇの忘れてんのか」  「そ、そんなことない…」  「その反応、忘れてたんだ」 帰ると言いだした朱華に今後の予定を伝えた者は紅く肩より少し長めの癖毛で、琥珀(コハク)の瞳をしている、朱華達と中学から絡んでいる、名を沖野 慧(オキノ ケイ)という。 最後のとどめを刺したのは、慧と同じ色の髪、同じ色の瞳をした、者だ。名を沖野 翼(オキノ ツバサ)という。慧とは双子で翼は弟。二人は双子なだけに見分けが難しいが翼は前髪で左目を隠しているのでそれで見分けるしかない。
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