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「失礼します」
呼びだしがなけれはこの後眠る予定を立てていた為いささか、否、かなり機嫌の悪い朱華が部屋に入るなり元気な声に迎えられた
「遅いよ!!朱(シュウ)ちゃん」
「ウルセエ、何のようだ叔父さん」
イラついたように問いただした声に一瞬目を見開き、
「ひどいなぁ~兄さんから【菊一文字 靖則(キクイチモンジ ヤスノリ)】預かったのに」
「!! もう修復終えたのか?」
朱華の機嫌を一発で直した者こそ、この学園の理事長、龍院 朱樹(リュウイン シュキ)。漆黒の髪は短く、瞳は紅い。
朱華の父親、龍星院 蒼華(リュウセイイン ソウカ)の弟で、朱華からすれば叔父にあたるのだ。
「菊(キク)、どうだった?」
「大丈夫だよ」
朱樹から朱華に渡されたのは一振りの刀。この世界では[トウジン]と呼ばれているものだ。
[キメラ]を殺す為に生み出された兵器。
「そっか、よかった。御帰り、菊」
≪ただいま。朱ちゃん≫
[トウジン]とはその名の通り、人と刀を組み合わせて人が作り出した[キメラ]故に人の言葉を理解し、話をする事が出来る。また、強い力を有している[トウジン]は人の姿になる事も出来る。
「ま、いい。叔父さん俺、戻るな」
「朱ちゃん、またね」
「あぁ、親父にサンキューって伝えといて」
朱樹の返事を聞く前に部屋を後にする朱華
「あの事まだ引きずってるのか、朱華。」
部屋に残った朱樹の呟きは誰かに聞かれることなく空気にきえた
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