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朱華が龍剣技術学園(リュウケンギジュツカクエン)に入学してから、一か月が経とうとしている。学園では朱華達が不良として有名になり先生達に目をつけられ始めたころに当たる。
朱華達は喧嘩を直ぐにやるなどの事はないのだが授業をサボルといったいたっておとなしい方だ。だが、一度、三年生の不良に絡まれ相手と乱闘騒ぎを起こした事はあるが、それ以外は大きな事件などは無い。
また、朱華は何も聞かない伊達のいる保健室に頻繁に通うようになっていた。今日も朱華は保健室に来ていた。
「伊達(だて)~いる?」
「朱華君。お願いですか先生とつけてください。」
伊達に少しづつ慣れてきた朱華は彼の事を名前で呼ぶようになったのだが絶対に【先生】とは、言わない、其の為いつも朱華に対する彼の第一声が決まりつつある
「伊達先生。体調不良で休みたいって」
「かまいませんよ。冬夜(トウヤ)君」
藍色の瞳、蒼紺の短髪の青年が入ってくる彼は右目に眼帯をしている、どこをどう見ても彼は体調不良の者には思えない。
彼の姿を見た朱華は蛇に睨まれた蛙のように全く動かなくなり青年を凝視している
「で、誰が体調不良なんですか?」
「奏(そう)ちゃんだよ」
「黙れ。冬夜…」
冬夜と呼ばれた者が廊下に居る本当の体調不良者を連れてくる。彼は一度、朱華が初めて保健室に行き、去った後にきた者だ。
二人目の青年が入っていたとき朱華は動く事を忘れたかのようにただ彼らをみていた。
「…に、にい さ、ま…兄様(ニイサマ)!!」
やっとのことで言葉を紡いだ朱華は、その瞳に涙をためていた
「しゅ、朱華…なのか…?」
「しゅ、朱華…様…」
伊達と話していて、朱華の存在に気づいていなかったが朱華の声を聞き始めてその存在に気づきそして朱華同様に互いの認識が正しいかにように名を呼びあう
「兄様!! 冬夜さん!!」
「朱華!!」 「朱華様!!」
互いの認識が正しいと分かると朱華は二人のもとに行く
それを受け止める冬夜、彼の名前は南院 冬夜(ナンイン トウヤ)という。この世界では有名な【龍星院】家に仕えている。そして朱華に兄様と呼ばれたのは龍星院 奏樹(リュウセイイン ソウキ)という。 漆黒の短髪、蒼黒の瞳をしており【龍星院】家の長男。
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