─02─

10/11
前へ
/36ページ
次へ
ガラガラ 私は濡れたまま、教室に入った。 「美悠…濡れてる……??」 「大丈夫??」 「…さわらないでっ!!キモいからさ、私に近づいたら男子に嫌われちゃうよ」 「美悠…??」 「なんで……」 「もういいよ…」 ガラガラ 「おーい席つけぇ…って石坂??なんで濡れてるんだ…」 「間違えて川に落ちました。」 「見え透いた嘘をつくんじゃない。今日の数学は自習だ。宿題やってていいから静かに」 ……… ………… 「石坂??何があったか話してみなさい」 「先生は数学の先生ですか??」 「あぁ…副担だぞ、夏休み中に忘れたのか??」 「……」 「なーんてな」 「…実はそうなんです。」 「えっ!?」 「私…事故に遭って記憶喪失になったんです」 「記憶喪失…そうか…」 「それで…思い出せるかもしれないから…言わないことにしたんです……」 「なるほど…それで…」 「…でも濡れているのは関係ありません」 「…そうか、話してくれてありがとな」 先生は立ち上がった。 私の頭をぽんぽん叩いて行った。 「……頭叩かないでよ…全く嬉しくないよ…」
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加