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食卓に向かい、用意された目玉焼きと味噌汁、白ご飯をすっと食べた。姉はまだ台所に立って片付けや雑多な用などをしている。最近はだが、今日も何故か浮かれているような感じで鼻歌交じりな姉だった。最近、仕事場にも新しい人間が入って来たと言うから、その際に思い人でもできたのだろうか?長年付き合ってきてはいるが、わしにとって姉は未知数な人格の人間である。わしがああだこうだと思惑を巡らそうと、思いも寄らない考え方をしている。考えるだけ無駄じゃな。 昼食を食べると、遅いが学校へ行く。道端は昨日の雨の跡で泥が跳ねて、溝に水が溢れんばかりにごうごう音を立てて流れている様子だった。今は雨季。巷を賑わせていたかの有名な水不足も今回のような大雨が続けば解消されるじゃろう。 学校に着くと、6時限目をするところであった。教科書を広げ、眺めていると、国語の担任の山下がクラスメートを指名して、音読させている。教室は荒れた者が多い割には静かで、ほとんどの者が参加しておる。表向きは悪じゃが、内心腹の内では列記とした良い子たちなのであろう。授業中に雑談などを繰り広げるということもなく、授業終盤まで突入する。「ここはテストに出すのでメモしておいてくださいね」と言われて、ノートにメモを取る。わしはノートに必要事項を書いて終わりの鐘とともに閉じる。起立の礼がかかって、みな一斉に立ち上がり、礼という掛け声で頭を下げる。こうしておもしろくもない国語の授業が終わり、みな掃除へ向かう。 「叶ー、一緒に掃除行こうぜ」 クラスメートの尾張という者が声を掛け、一緒に並んで歩く。尾張はわしより大柄で声の大きい男だ。力もあり、話もできる社交家である。今日もわしに対して自分の知っているうをちくなりなんなりを話して楽しくさせてくる。軽く憎まれ口を叩くと、ぐっと肩を抱いてきて、一緒に階下へ落ちる。 「お前、そんなことばっか言ってるから姉ちゃんに心配されんだぞ、弁えろよな?」 と。わしはうるさいと言って、尾張を跳ね除ける。尾張は笑いながら、近づいてきて 「姉ちゃん美人じゃけぇ、変なこと考えとるんじゃないか?」 と、冗談交じりに言ってきて、「そんなことないわ。あれは女じゃない!」と言って笑って返答するも、尾張はがははと笑って飛びついてきて 「姉ちゃん可愛いね、どうしようかぁ?」 と言う。
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