生い立ち

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「美雪?」 私の背後から年配の男が母に話しかけた。 「…!!五十嵐さん?」 母は驚きと嬉しさが混ざった顔をした。 「久しぶりだな~!」 男は顔をくしゃくしゃにして笑った。 この人、五十嵐さんは母が昔働いていた店でボーイをしていた人で 今はキャバクラの店長をしているらしく たまにマックとか若い子が集まる所に女の子をスカウトにきているとの事だった。 母が藁にすがるように事情を説明すると すぐに部屋を用意してくれた。 1DKのその部屋は家具が備えついていて 駅もスーパーもコンビニも近く 二人で生活するには十分だった。 母は20歳で私を産んだのでもう31歳だったが 「美雪は接客うまいし綺麗だから」 と五十嵐さんの店で働くことになった。 五十嵐さんはまさに救世主だった。
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