羽鳥洋一

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高校3年の秋に東京にある会社の事務に就職が決まった私は 卒業と同時に一人暮らしをすると決めた。 通勤が大変だからと母には言ったが 母と五十嵐さんの新婚生活を邪魔したくなかったから わざと東京の会社を選んだ。 でもやっぱり一人暮らしは寂しいもので 私は会社の同僚で気の合うマイと頻繁に合コンに参加していた。 マイと違って私は特別彼氏が欲しいという気持ちがあったわけではないが 男にちやほやされる合コンは楽しかったし 父の顔色をうかがいながらの生活は 私に読心術のような技を身につけさせていたので 自分に興味のありそうな相手を選んでは甘えて お金をだしてもらったり 車をだしてもらったり 都合よく使っていた。 この頃の私は恋愛をゲームのように軽く楽しんでいた。
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