羽鳥洋一

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そして私は3ヶ月に1度 母の家へ帰り自分の近況を話しては 五十嵐さんに 「さすが美雪の娘、悪女だね」 と笑われていた。 私が24歳くらいになると母は 「いい加減落ち着きなさい!」 と口癖のように言うようになっていた。 それでも私は生活を変える気はなかった。 26歳になっても 周りがみんな結婚しても 私には結婚願望がなかった。 そこそこ有名な会社のOLで 時間もお金もそれなりに 自由な一人暮らしは快適で 結婚なんかして家庭に縛りつけられる毎日なんか想像もできなかった。 もっとも 1番大事な 「結婚したい相手」が私にはいなかった。 作りたくないわけではなく。 愛する人が現れなかった。 いい人は沢山いたけれど 五十嵐さんと比べてしまう自分がいた。 五十嵐さんは私の中では顔と年齢をのぞけばパーフェクトな人だった。
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