第五章 《近藤派と芹沢派》

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三人は小さく息を吐く 今日の飯を食べるだけで精一杯なのに遊郭に行けるほど余裕なんかない 無理矢理金を巻き上げたに違いないのだろう 「芹沢さんがいない間に新しく入った―」 「よいよい。入っただけでも聞いておけば」 「………数人、前川邸に荷物を運ばせましょう。山南さん呼びに行ってきてくれ」 「分かりました。では私は失礼します」 土方は山南に隊士の誰かを呼びに行き芹沢一派は前川邸に去っていく 「―――っくそ!!!」 柱に拳を殴りつけて芹沢一派が去った方を睨む 「トシ…いつまでこうなんだろうか」 「知らねぇよ。新見の野郎、いつかぶった斬ってやる」 「あれ近藤さんと土方さん。珍しいですね」 キョンと空が竹で編まれた籠を持って近藤と土方に目を向けていた 「これから買い出しか」 「はい!皆さんに美味しいご飯を食べて頑張って欲しいですから!」 「ありがとう空君。しかしお供はいないのかい?」 「平助くんは今稽古中で蒼ちゃんも愛次郎くんも見当たらないんです」 芹沢が帰ってくる前に佐々木と蒼と立ち聞きしていた沖田を使いに出してしまった 空一人で買い出しに行かせるのは危なく、土方が護衛をするために空についた
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