病むを得ず

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その後── 滞りなく儀式を終えた二人は晴れて姫と騎士という、なんとも響きの良く、只の皇族とそれに仕える軍人とは全く違う。 特別な関係になった。 呼び名も、信頼の厚さも、その責任も。 全てが重く、特別なものだ。 平等を唱っているシュナイゼル皇帝の補佐的立場を担っているルルーシュがいる手前もあるのか、軍人貴族の盛大な拍手のあと口を開き、 「枢木スザク准尉はこれにより、新しい位が授けられることでしょうな──やれやれ、抜かされたら面子がたたん。」 太く響く声でそう言ったのはダールトンだった。その貫禄ある顔は笑っている。 面識のあるユーフェミアや、その他の者も、冗談めいたその言葉に緊張をほぐしたように笑った。 小さな笑い声が束になり、儀式の間は一変して騒がしくなっていった。 その場で唯一笑っていない人物に、気付いている者など居るのだろうか。 「───…。」 顔を下げ、長い前髪でルルーシュの表情は見えない。 そのつやのある黒髪の頭を横目で見つめる同い年の騎士。 否、彼だけは気付いていた。 気付いているというより──、 分かりきっていたことだった。 自分がここに来て喜び笑う者など、そもそもは主であるユーフェミア以外には居ないのだから。
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