運命はただ

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      叙任式まで夜なべして完璧な言葉を考えるであろう兄だとか。     用意していた何種類もの祝いの言葉を、騎士が日本人ということを理由に細かい部分を変えざるおえなくなり苛立つ兄だとか、そういうものだったのだが。 決して、実際はそうならなかった。 いや、前者は間違い無く予想した通りになった。 ユーフェミアの為と、無念のコーネリアを思って完璧の言葉にしてくれようと机に向かう。 そんな兄の背中をナナリーは誇らしい気持ちで見ていた。 とても楽しみにしていた。 尊敬する姉の騎士の叙任式。 優しい兄に、久しぶりに会う方たち。 …だが。 叙任式の場で。 ユーフェミアの騎士が赤い絨毯に足跡をつけたあの一瞬から。 見開かれたルルーシュの瞳と共に。 再び何かが狂いだしたのは、確かなのだ。      
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