落ちた首

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  今でも夢に見る。 子供らしい大きな、翡翠を輝かす親友。 眩しい太陽と鮮やかすぎるひまわりを背に笑う、10歳になったばかりの少年。 性格は少し乱暴で、筋が通らないことにはうるさい位に口を出してくる。 それでいて、素直で優しい。 自分とは真逆な、 そんな少年だった。 幼馴染みから唯一無二の親友となるのに、そう時間はかからなかった覚えがある。 むしろそうなることは必然的であり、決められていたことのようにも思うのだが。 自分は誰よりも彼を信じていたし、 彼も自分をとても信頼してくれていた。 お互いにお互いしか友達が居なくとも構わなくて、妹と3人で、楽しく笑っていた8年前までの夏の日々。 ――この夢を見た者が目覚めた時に残り呟くのは、後悔と謝罪の言葉。 少年の名はスザク。 一国の皇子であり、この夢を見る者でもあるルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが、世界でただ1人親友と呼び、あの夏から8年経った今、彼に殺されたいと願い続ける男の名前だった。  
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