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また別の場所では、叙任式の準主役と言ってもおかしくはない者――ユーフェミアの騎士となる枢木スザクが出番を待っている。
こちらは対して緊張の色も見受けられず、冷静そのものといった様子で目の前の重厚な白い扉を見つめていた。
まだ若い翡翠の視界は白の扉と自身が着ている白色の騎士服。
そして鮮血のように赤い絨毯。
この絨毯の先に、これから自分が守るべき相手がいるのだと思うと、なんだか不思議な気分だった。
よく晴れた空。
惜しみなく背中に注がれる太陽の光を浴びながらスザクは一瞬記憶を辿る。
こんな風に暖かくて、世界中が平和なのではないかと思える日が、自分は少し怖い。
何か良くないことが起こる日は大概晴れているのだ。経験上。
途方に暮れる自分を心の底から無視するように晴れ渡る空は、一瞬でも印象に残る。
――……。
やめよう、とスザクが思うのと同時に、扉の軋む音がした。どうやら開くらしい。
伏せていた目を上げ、視界が鮮やかに変わった時真っ先に目に入ってきたのは、自分の主ではない、別のひとだった。
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