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「………っ」
それぞれがそれぞれの立場から息をのむ音がした。
一瞬止まるはずもない時が、止まったように。
ふたりには…そう感じた。
一瞬の後、片方は既に歩き出していた。
だがもう片方は未だに放心し、目を見開いている。
「なんで…あいつが…?」
ルルーシュの薄い唇から掠れるように漏れた言葉は、そんなものだった。
そこから覚醒したようにルルーシュは、責めるようにルルーシュはコーネリアを睨もうとした。
なぜユフィの騎士をあいつが。
日本人が。
それもよりにもよってスザクが。
なぜ止めなかった?
なぜ認めた?
なぜ、俺に祝わせる!?
しかしコーネリアはここには居ない。
代わりに席に座っているのは、ダールトン。優秀な軍人。
責務が入ったコーネリアが代わりに置かせたのだろう。
枢木スザク――かつての親友に合わせる顔など、ルルーシュは持っていなかった。
少なくとも本人が考える限りは。
次にスザクに会うときは、自分がスザクに殺される時だと、勝手に予測し、それを寧ろ願ってさえいたルルーシュだ。
動揺を抑えられないのは至極当然といったところだが――、
そんな震える紫とは逆に、感情を表にさえ出していないものの酷く冷めた、同じ年の、色の違う瞳が揺れた。
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