落ちた首

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  少し前から日本とブリタニアは、国際的な友好関係も良好と言えるようになり、これと言った問題も無い状態にあった。 勿論これは今も続行中である。 強盗の国と呼ばれた過去を捨て、ヘタなことでは武力を行使しなくなった超大国。 弱体化を指摘している者もいるが、少なくともブリタニアは過去に比べればとても平和になっただろう。 身近な、大切な人を失わなくて済む世界に、着実に近付いている。 そして、そのような世界を創ろうではないかと唯一皇帝シュナイゼル・エル・ブリタニアに意見し、相談役として重要な役割を担っているのが異母弟であるルルーシュだった。 ルルーシュ。 優秀で人望も厚く、しかも秀麗とあり最近では噂が絶えない皇子である。 皇位継承権は11だ。 いかにも輝かしいと思えるが、行動の本質はそうでもないものだ。 彼は罪滅ぼしをしている。 否、自分の行いを彼はそう思っている。 ナンバーズ制度の廃止、植民エリアの人々の待遇の改善…。 喜んでいる人たちはたくさんいた。 ルルーシュとシュナイゼルを、まるで英雄のように言う人も。 しかしルルーシュは、その度に深い自嘲を覚えるのだ。 今さらどんなに足掻いても、飢餓やテロで死んだ者たちが還ってくるわけでも、喜ぶ顔を見れるわけでも無いように。 既に流れて落ちてしまった涙をぬぐい去ることは出来ないのだ…と…。   ルルーシュは、そのぬぐえなかった1滴の涙と、その涙を流した理由。 この2つのことに対して、罪の意識を消すことが出来ずにいた。   過去に起こった1つの事件は、ふたりをきつく縛り、動かせないでいる。 ルルーシュと、もうひとり。    
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