落ちた首

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  薄暗い自身の寝室に入ったルルーシュは明かりを付けないまま、存在感のある天蓋が覆うベッドへ倒れこんだ。 サイズはクイーンと言ったところか。 背は高いものの、細身なルルーシュが一人寝するにはそれは若干大きすぎるというものだが、皇族ならまた話は別なのだろう。 重厚感溢れる木製。 光沢のあるシルクの布。 広い部屋の、主のように存在するベッドは近寄るのも渋られるほどに深い黒をしていた。 「………」 暗いベッドの中にもぞもぞと入り込んで行ったルルーシュは既に目を閉じていた。 美しい見た目と、静かな雰囲気からは想像つかない程に、頭の中では様々なことが巡っていたりしたのだが、とりあえず疲れた体を休めることにしたらしい。 やがて。 「………う、」 シャツさえ緩めずに眠りに落ちたルルーシュは小さく声を出した。 うっすらと汗ばんだ額に乱れた前髪が僅かにはりつく。 眉を寄せた、暑そうとも苦しそうともとれる顔。うなされているような。 実際、ルルーシュは夢を見ていた。 ひまわり、約束。 笑顔の3人。 血だらけの…だれか――― 大切なひと…。 「ス、ざ…」 夢の淵でもがきながらルルーシュは無意識のうちに右手を首元に伸ばす。 完璧に締まったシャツが苦しい。 喉がまるで締め付けられるように。 呼吸がうまく出来ない。 この苦しい、が 痛い、に変わるまで。 この悪夢は終わらないのだ。 心のどこかで小さな自分が、砂が風に吹かれるかのように消えたのを、涙で霞む視界でルルーシュは見た気がした。 無論夢だと、ルルーシュは分かっている。  
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