極めて不自然に、まるでそれが自然なことのように

10/11
前へ
/130ページ
次へ
 ミズヤはこの後のことはよく覚えていない。 ただ後からニギハヤヒ家に関係する人物に人殺しの才能を見いだされ、世間的な殺人罪という罪を背負うことを免れたと聞いた。 「無視ね。賢いわ」 レオが笑って言った。 と、その時レオの雰囲気が変わった。 視線は屋上の昇降口。 「私、行くわね。人が来たみたいだから」 途端、レオは屋上から飛び降りた。 極めて不自然に、まるでそれが自然なことのように。 ミズヤは急いで下を、落下した先を見下ろしてレオを探した。 しかし、そこには春の穏やかな学校の風景があるばかりでレオも、その死体も見当たらなかった。 多分、死んでない。 ミズヤは確信めいたものを覚えた。 その内に昇降口の扉が開いた。 同級生のカエデだった。
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

115人が本棚に入れています
本棚に追加