極めて不自然に、まるでそれが自然なことのように

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「こんなとこにいたんだ」 カエデは柔らかな笑みで言った。 優しい女性の笑みだ。 カエデは長身ですらりとした体型だが、どこか母親のような包容力がある。 ミズヤはそう感じていた。 「いいの?講義」 カエデがミズヤに歩み寄った。 ミズヤもそれを拒むようなことはしなかった。 ミズヤは人を避けている、が、カエデは別だった。 カエデはどこか、ミズヤの母親に似ているように思えたから。 「別に興味ない講義だから……」 ミズヤは嘘をついた。 本当の理由は講義で学ぶものを活かす未来が無いように思えたからだった。 一般的な専門職にはつけない。 自分には人殺ししかない。 だけどカエデを見てると、そういうことが忘れらるようでミズヤは心地が良かった。
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