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「同じ歳だから敬語じゃなくていいよ」
ミズヤはカエデの緊張を察したようにして言った。
「そ、そう、だよね。ところでさ、ミズヤ君てゴッシヴ上手だよね。いつも練習とかしてるの?」
「練習……いや、使ってるよ。うん。使ってる」
「え?ゴッシヴ……を?」
普通に生活していてゴッシヴなんか使う機会なんかあるのだろうか。
カエデは疑問に思った。
しかし、すぐに、
「ほら、草刈りの時とかに」
とミズヤが言って、しばらくして、冗談、と言った。
カエデは本当にぎこちなく笑った。
冗談なんか言えるんだ、この人、とも思った。
「でも練習はしてるかもね。ゴッシヴしか取り柄が無いから、僕は」
ミズヤがどこか宙を眺めながら言った。
カエデは、取り柄が無いなんてそんなことない、と思った。
「……じゃあゴッシヴの研究関係に進むの?」
これは進路の話だった。
そろそろ考えねばならない年齢でもあったから。
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