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むかし、むかし
あるところに、高い塔にお姫さまが住んでおりました。
お姫さまは、美しく、真珠のように白く、輝いているような肌をしており、夜の闇のように黒くながい髪をしておりました。
お姫さまが振り向くと、月が仄白い明かりが辺りを照らすような美しさでした。
でもお姫さまは、心がふさいでいるように悲しげで、いつもぼんやりとして、月が出て朝日がさすまで起き、昼間は寝ていらっしゃるので、人々から『月のお姫さま』と呼ばれておりました。
お姫さまは、よなよな、竪琴を弾いていました。
特別に、気にやむことはないのにどうして悲しいのか、と思いながら。
そんな思いをのせた竪琴の音色は、美しくも、どこかさみしいものなのです
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