太陽の王子

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 ある国に、金色の髪と緑の瞳を持つ、王子がおりました。  王子の金髪は、まばゆい太陽のような輝きを放ち、息吹く若葉のごとく、若々しい生命のみなぎるような光を含んだ眼の色をしており、王子を見ると太陽のように眩しく、容姿端麗を絵にかいたような姿をしていらっしゃったので、人々は、太陽の王子と呼びました。  その見目麗しい容姿だけに、城中の愛情をうけ、人一倍可愛がられた王子は、賢く、我儘に育ちました。  やがて年頃になった王子は、狩りや剣術を好んだため、筋肉も無駄なくつき、ただの脆弱な男児から完璧な姿形になった美青年になったことが噂を呼び、先方からの縁談話が絶えませんでした。  しかし、数々の王女と面談しますが、王子は気に入りません。 「私にふさわしいと思うなんて、あなたはどうかしてるんじゃありませんか?」  こんな具合で、会った王女の容姿や、話し方をさげすみ、相手の自尊心を粉々にして断るのです。  王子に会って泣かない王女はいませんでした。   王様は困り果てました。このままでは、王位継承はできても、妃の席に誰も座らないままでは、子が生まれず、この国の存亡にかかわる一大事です。 「王子や、どうしてそこまで人の心を踏み付けるのだ。」 「父上、私はただ理不尽を嘆いているだけですよ。私が姫君たちの心を踏み付けているというのなら、それ以前に私も、姫君たちに心を踏み付けられています。」  王子は本当に侵害だ、というように言いました。 「はて、あの姫君たちが、そちに無礼なことを言ったかの?」  王様は首をかしげます。
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