#1、堕ちてきたのはうさぎさん。

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「で、できれば、できればでいいのですけど、人の姿とやらになってほしい……かもしれません」 私の中での結論はそうなった。 これが本心だと思う。 嘘をつくのは苦手だし。 というか黒歴史はゴメンだし。 「ほ……本当はなりたいのですが、恥ずかしながら人型になるための【指輪】を忘れてしまったようで…」 ただのうさぎのぬいぐるみ(←重要)なので、細かい表情はわからないけど、声音が今にも泣きそうに震えていた。 そして沈黙が続く。 私は、 「指輪で人型になれるなんてファンタジーだなぁ」とか 「人型のヤトさんはどんな感じなんだろう。話し方的に……眼鏡の爽やか文学青年で、でも眼鏡をとると鬼畜に……!?」 とかそんな事ばかりを考えていた。 今思えばそうとう重症です。 すると唐突にヤトさんが言った。 「……お願いがあるのですが聞いていただけますか?」 すごい可愛い顔してみつめてくる。さすが私のぬいぐるみ。 反則でしょ…。 「うっ……はぁい。」 そして、私はお願いされると断れないタイプの人なんです。 いつも二つ返事で承諾し、それから内容を聞いて後悔する事が多いのに……。 また内容を聞く前に、返事をしてしまった……! 「僕がなくした指輪を作ってくれませんか?!」 …………。 ………………………。 指輪って作れるの? いや、シルバーアクセサリーが作れるキットはホームセンターに売ってたけど……。 しろつめ草の指輪とかなら、昔作ったから作れるよ? ……でもさ。 私、そんな不思議な指輪なんて作れないよね? ただの村人Aだよ? 魔力(?)とかMP(?)不思議な力とか持ってないよ! いや、もしかしたら私は魔女?魔女なのかも!? じゃあ、おジャ魔女カナ?アクセサリー屋さんやる? …んなわけない。 いきなり黙った私を心配そうに見上げるヤトさん。
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