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「うっさああああああい!!」
女の子座りでヘタっていた私はすぐに右足を立てて腰をひねり、関根はるかのキレイでも憎らしすぎるその顔に拳を叩き込んで腕を振りぬいた。
関根はるかは叩かれた私のように吹っ飛びはしなかったけど、しゃがんでいる体勢からぺたんと尻もちをついた。
私は痛むお尻を余所に、すっくと立ち上がり、スカートをぱんぱんと払って関根はるかを睨みつける。
頬を押さえて呆然としていた関根はるかはそんな私を見て、はっとして、尻もちをついたままわめきだした。
「おっ……お前なにすんだよ!俺の、か、顔殴りやがったな!」
「うるさいこの性悪男!性格ブス!!」
「なんだと!ブスがブスって言うんじゃねえよ!!」
「確かに私の顔はアンタよりブスよ!でも性格はアンタほどブスじゃない!」
「このゴミ虫女!」
「なによ!外見だけが取り柄のナルシスト男!」
それから、全員下校のチャイムが鳴るまで、私と関根はるかはずっと言い争いをしていた。
ちなみに翌日聞いた話だけど、この日、入部届けを出す場所はそれぞれの部室ではなく、担任の先生に直接提出だったらしい。
更にこの日は部活も無く、私と関根はるかだけが間違えた結果、こうして鉢合わせてしまい、殴り殴られのケンカを誰にも止められることなくやらかしてしまったわけだった。
全員退校の6時になるまで流される音楽がBGMのように聞こえる。
日替わりのそれは、今日は疾走感のあるロックンロールだった。
これが私と関根はるかの忌まわしい出会い。
ロックンロールを背に、怒鳴り合い、けなし合う。
アメリカ人なら間違いなく中指を立てまくってしまうであろう、そんな、正しくロックンロールな出会いだった。
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