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あー、やだやだ……と重々しい気分で自分の教室に戻り、席に向かう。
朝のホームルーム前の教室は、入学間もないというのにすでにわいわいと沸き立っていて、何個かグループもできていた。
そのグループをかき分けつつ、微妙に顔見知りになったクラスメイトの女子数名と挨拶を交わして、未だ出席番号順で並べられている机のおかげで、教室の非常に中途半端な場所に位置しているのが私の席だ。
前でもないし後ろでもない。そして窓際でもなく廊下側でもない、真ん中辺りの席。
椅子を引いて腰を下ろすと、中々年季の入ったきしみ方をして、年季の入った学校なのかな、ということを考えた。
校風も歴史も何も知らない。あの日、ライブの日に覚えて帰ったのは学校と古屋先輩の名前と部活だけ。
それだけしか知らなかった私が、今、その学校のとある教室のとある1つの席に座ってしまっている。
奇跡といえば奇跡だし、不純といえば、不純だ。
男の尻を追いかけて入学したなんてことを、良く思わない人だって居るといえば居るだろう。
だけど、私はそれだけ古屋先輩が好きなんだ。
大好きなんだ。
だから関根はるかにぶん殴られようと蹴りをかまされようと、先輩を好きな気持ちだけは、絶対に無くさないようにしなきゃ。
そうしないと、今までの私が、全部無駄になっちゃう。
ほら、穴の開いた障子とかもね……。
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