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「関根はるか、っていう男子のウワサ……もう聞いた?」
「……うぇ、えッ!?」
関根はるか!?
今、関根はるかって言った!?
私は、凛が関根はるかの名前を知っていることに慌てふためき、また妙な声を上げ、机の上と凛の顔を交互に見るという意味の分からないことをしでかした。
凛はそんな私を、口元にニヤニヤを携えながら見つめ、再び顔を寄せる。
「やっぱり知ってるんだ。スミレも意外に面食いだねぇ……」
「い、いや、面食いとか……そんなんじゃないよ!」
凛は、何かを勘違いしているらしく、更にニヤニヤにニヤニヤを重ねる。
これは何を言っても無駄なときの顔だと悟った私は、とりあえず凛の言う「関根はるかのウワサ」を聞く作業に徹することにした。
これ以上あの男に首を突っ込むことが危険なのは分かる。
だが、そこは女子高生。
「ウワサ」と名の付くものには、駅前の有名スィーツと同じくらい惹かれてしまうのだ。
「……で、その噂の男子がどうしたって?」
そして、あの関根はるかという男子にもほんの少しだけ……ほんの、ほんの少しだけ興味がある気がする。
恐ろしく綺麗なくせに、ひっくり返るくらい性格の悪いあの男子のことを。
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