第2話 エキセントリックな少年

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凛が言った話をまとめると、こうだった。 4組に居る「関根はるか」という男子が、モデルか!?芸能人か!?と疑うほど超ウルトラスーパーミラクルカッコいいということ。 入学して間もないけど、既に10人近くに告白されたということ。 既に2年、3年生の先輩のところにもウワサが流れていて、「関根はるか」を狙っている人が大勢居るということ。 男子の先輩たちが、そんな「関根はるか」を生意気だという理由でシメようとしたけど、黒服のボディーガードたちがどこからともなくやってきてボコボコに返り討ちされたということ。 「関根はるか」の実家は、やろうと思えば東京ドームを丸々買い占められるほどのお金持ちだということ。 「関根はるか」が日本を牛耳る政界のドンの一人息子だということ。 などなどであった。 「……いやいやいや、後半ほとんど嘘だよね」 「だからウワサだって言ったじゃん!でも、顔はマジでカッコよかったよ!」 そりゃあ、あの顔じゃあねぇ……と、思ったがあくまで知らない振りを突き通そうと「それは是非見てみたいわ」ということを言って、また凛に曖昧な笑いを返す。 「えっ、スミレってまだ顔見てないの!?」 「えっ……う、うん。まあ」 実は昨日会ったんだけどね。 しかもビンタ喰らわされたちゃったんだけどね。 さらに私も、その評判の綺麗な顔を殴っちゃったんだけどね。 仕舞いには悪口の言い合いなんかもしちゃったんだけどね。 そんなことは口が裂けても言えない。 関根はるかにも殺されるし、関根はるかのファンにも殺される。 それだけは何とか避けなければ!
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