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「じゃあ、今から見に行こうか!」
避けなければって……避けなければって、誓った矢先にコレだよコレ!
さすが凛だ。天真爛漫な彼女だからこそできる見事なエアークラッシュ。
もとい空気ぶち壊し。
まあ、関根はるかのことを言わなかった私に全ての責任がある。
でも、この冷や汗と脂汗の混ざった嫌な汗がダラダラと流れている私の顔をよく見てほしかった。
「い、いやー……さすがにそれはまずいでしょ。見世物じゃないんだし」
「大丈夫だって!今でも休み時間の度に4組の前に行列ができるほどらしいからさ!」
「いやいやいや、何一つ大丈夫なことないよね!ね!」
「えー……まあ、スミレは古屋先輩一筋だから興味ないのか」
「そ、そう!そうそう!そうなんだよ!」
ああ、ありがとう凛。そこに気づいてくれて。
そうか「古屋先輩一筋だから」っていうのは、イケメン大好き女子高生の世界でも、関根はるかに興味を持たなくても不思議に思われない素晴らしい理由になる。
「古屋先輩一筋」っていうのはまぎれもない事実だし、当分これでしのがせてもらおう。
「ていうことは、スミレは軽音部に入ったんだよね」
凛の話が、関根はるかから部活の話題へと変わる。
ナイス、凛。
「うん!今朝教室来る前に入部届け出してきたよ」
「え、昨日出し忘れたの?」
「そうそう、しかも間違えて部室行っちゃったしさぁ」
「あー、だから昨日早々と帰っちゃったわけだ」
「そうなの、何も言わずにごめんね」
「大丈夫大丈夫、親友だからってそんな1日の予定まで把握し合わないよ」
「あははっ!そうだよね。ところで、凛は何部に入ったの?」
この高校は部活動がさかんな学校で、部活は全員強制参加となっている。
帰宅部予定だった凛は、入学してからそのことを知り、ここ数日何部に入るかをずっと悩んでいた。
何度か相談も受けたけど、凛は結局何部に入ったんだろう。
「ふふ……色々迷ったんだけどね」
「うんうん」
「やっぱり、スミレと一緒に青春を謳歌しようと思ってさ……軽音部にしちゃいました!」
そう来たかああああああ!
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