第2話 エキセントリックな少年

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私は、凛が入るとしたら運動部を選ぶと思っていたから、一緒に部活ができるというのは飛び上がるほど嬉しい。 実際に、中学生の時は、凛が運動部で私が文化部だった。 そこで3年間部活に励み、燃え尽きた凛は、高校に入ったら絶対帰宅部員になるとよくこぼしていた。 だから別に、一緒に軽音部に入るのは何の問題でもない。 問題は、軽音部に関根はるかが居るということだ。 「……どうしたのスミレ、顔色悪いよ?」 「そっ、そんなことないよ!気のせいじゃない!?」 関根はるかが、私の「親友」という理由だけで凛に手を出さないか死ぬほど心配だ。 もしくは、私が凛に関根はるかの秘密を話したと勝手に思い込まれて、凛が口封じに何かされないか、ということも心配である。 凛は私と違って美人だから、ぶん殴られるかわりにヤラれちゃったりするかもしれない。 いや、関根はるかは、古屋先輩のことが好きらしいから、女子には興味がないか。 それなら襲われる心配は無いか……と、思いたいけれどあの性悪裏表男のことだ、信用はできない。 「もしかして、私がスミレに内緒にで軽音部に入ったこと……怒ってる?」 難しい顔をしていた私に、凛が不安そうな声でそう尋ねる。 「そんなわけない!凛が一緒で、私、すっごく嬉しいよ!」 「本当?怒ってない?」 「神様に誓って!」 凛の手をとって強く握り、大きく頷く。 それと同時に、朝のホームルームを告げるチャイムが鳴った。 それぞれのグループが崩れ、みんなばらばらと席に戻っていく。 「うん。分かったよ、スミレ」 そんな中、凛がにっこりと笑って手を振り、席に戻ろうとする。 私は離そうとする凛の手を握ったまま、目を見つめ、聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。 「凛は、私が絶対守るから」 全ては、単なる私の思い過ごしかもしれない。 関根はるかも、古屋先輩さえ絡まなければ、そんなに嫌なやつじゃないのかもしれない。 だけど、あいつの昨日の豹変は紛れもない事実で。 裏表ありまくりの、良く言えば「不思議くん」、悪く言えば「変人」あるいは「奇人」の、関根はるか。 私が、親友の凛を守り抜かなければ。 あの、エキセントリックな少年から。
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