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「どの先輩追っかけてこの高校に来たの?キーボードの姉崎先輩?それとも、ドラムの谷岡先輩?」
関根くんの唇から軽音部の先輩であろう名前が次々出てくる。
しかし困ったことに、私は古屋先輩以外の先輩の名前を知らない。
もう、言ってしまおうか。
入部理由が不純と思われてもこの際仕方ない。
関根くんも、一応そうだし。
それにもし古屋先輩が好きだということがばれても、関根くんに何とか口止めすれば良い話だし、何よりこの頭が沸騰しそうな状況からは脱出できるはず。
よし、言うぞ!今言うぞ!
「ひょっとして……ギターボーカルの、古屋賢二先輩?」
決意をしたところで、関根くんの口からタイミングよく古屋先輩の名前が出てきた。
私はチャンスとばかりに、動かし辛い首をこくこくと小さく縦に振る。
「そ、そうなの、私、古屋先輩が、す、好きなの!好きで、この部活に、入部しようと思ったの!ごめんなさい!」
そして、思いのたけを関根くんにぶちまけた。
よく分からないけど、謝罪付きで。
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