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「へえ、古屋先輩が……そうなんだ」
「あ……」
関根くんが、私の上から退いた。
そうして、未だ机の上に仰向けにぶっ倒れて目をぱちくりしている私の方に向けて、手を差し出す。
起こしてくれるつもりなのだろうか?
不意の出来事にたじろいでしまい、関根くんにどうしたらいいか目で尋ねると、にっこりと微笑まれたものだから、私は安心してその手を掴んだ。
「ご、ごめんね、関根くん」
関根くんに手を引っ張ってもらって体を起こし、丁度、机の上に座っている形になった。
「ん?どうして謝るの?」
目の前にいる関根くんが私に尋ねる。
「だって、そんな不純な理由で入部するなんて……」
「大丈夫大丈夫、不純じゃないよ」
「えっ?」
「先輩が好きで、追っかけて入部したって、そんなに思い病むことじゃないからさ」
そう言って関根くんが笑う。それはもう慈愛に満ちた聖母のように。
その笑顔に私も安心し、釣られて、笑ってしまった。
ああ、良かった。心配する必要なんて全然無かったんじゃない。
関根くんは、顔も中身もキレイな人なんだ。
なーんだ……。
「だって、俺も古屋先輩が好きでここまで追っかけてきたんだしね」
その瞬間頬に激痛が走り、私の体はぶっ飛んだ。
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