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漆黒の闇が支配する闇夜………………
人の気配など微塵も感じさせない町並み…………
しかし、そんな町並みの中を足音を立てながら走る影があった。
その影は何かに脅えるようにその足取りを早くする。
暫く走り続けて漸くその足を止めた。月の明かりによって影が写し出される。
そこにはフードを被った一人の人間らしきモノが立っていた。そのフードは乱れる呼吸を整えた後、そのフードを脱いだ。
長い耳にまるで血が通っていないようなそんな色白の男がそこに立っていた。
「…………此処まで来れば大丈夫だろ。それにしても、『ヤツ』は一体何だったんだ…………まるで気配を感じなかった…………しかし、現に『ヤツ』は我の部下達を殺ろしていった………………何が目的だ。」
考えるも取り敢えず今は此処から離れなければ…………
男は背中から漆黒の翼を出す。その翼は羽根の在る翼とは違い、今で言うところのコウモリに近いものであった。
そう、幻想に出てくる存在である【悪魔】というヤツである。
「…………『ヤツ』が何者かは知らないが、間違いなく我等の敵で在ることに間違いない。此処は一旦形勢を立て直さない……………!?」
悪魔の視線は前を向いている。早くこの場から離れたいのだが何故かそれを赦してくれない。
そう、視線の先にいる影……………その影の放つ夥しい、深く混沌に満ちた【殺気】により、身体が自由に動かないのだ。
「(……………くそッ、ヤツの殺気はなんだ!?尋常ではない、このままじゃ………………ヤラレル…。)」
強烈な殺気を浴びつづけ、呼吸状態もままならなく次第に悪魔は立っていることも辛く、膝をついてしまう。る。男は思わず手で顔を抑え、土煙が晴れるのを待つ。
徐々に土煙が晴れて、男も抑えていた手を降ろしていく。
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