27人が本棚に入れています
本棚に追加
数分後、全体的に黒く運動性を重視した長ズボン、灰色のカッターシャツに、防弾繊維で出来たジャケット姿のアクセスが、先の長椅子に座り、白い湯気の立つコーヒーを飲んでいた。
その時、沈黙していたスピーカーから再びルクシアの声が流れ出す。
『残り一分で目標上空です、準備はオーケーですね?後部ハッチを開放しますので備えてください』
「あぁ、了解」
暫くの沈黙の後、機体の後部に取り付けられたハッチが低く鈍い作動音と共にゆっくりと動き出した。
そしてみるみるうちに天井部へと格納されていき、後には人一人程が通れるであろう大きさの穴がポッカリと出来あがった。
「うへぇー、寒い、今何月だってんだぁっ」
開口部から容赦なく吹き込んでくる突風に目を細めながら叫ぶと急いで手近にあった手すりを掴む。
『4月です、ここは高度は低いとはいえ上空ですし、飛んでいる飛行艇の中なのですから当然ですよ』
「あぁ、マグカップ割れた。道理で機内に何もないわけだ、こんなんじゃ全部飛ばされて何も置けやしねぇ」
自身が飛ばされぬよう壁に取り付けられた手すりを掴みながら、徐々に開口部に近づいて行き、ついに地上の木々を見下ろす位置へと辿り着いた。
最初のコメントを投稿しよう!