序章~出会いは頭から~

4/4
前へ
/36ページ
次へ
「いや、そこまで言ってないが……。」 桂馬は困りながら満の顔を見る。 「はっきり言ってくれ桂馬! 俺は本気だ!いや、本気と書いてマジだ! 好きか嫌いかハッキリしてくれ!」 すると突然、満は桂馬の肩を掴んで顔を寄せる。 「み、満……。」 「桂馬……。」 「す、好き……だよ。」 「あはあっ!!!」 満は嬉しそうな満面の笑みを浮かべる。 どうやら彼にとってその言葉だけで十分だったようだ。 「ほらおめえら!BLしてねえでさっさと席に着け!」 「「……はい。」」 谷はたった一声でそんな二人を鎮めてしまう。 「ったく。朝っぱらから体育とか信じられねえ……。」 「まあ、そういうな。お前サッカー得意じゃないか。」 あれから20分程経ち、一時間目の授業。 科目は体育。 今日の種目はサッカーだった。 「オレは別に得意じゃねえ。得意科目も家庭科っていうのも分かってるだろ?」 「ふむ、確かに俺は家庭的な桂馬が好きだ。」 「いちいち好きとか言うな。」 「照れるなって。」 「誰が照れるか!」 この二人もホントに仲が良いみたいだ。 「…ん?なんだあれ……。」 満が上空に何かを見つけたらしく、上を見上げる。 「どうしたんだ満?」 「な!お、親方!空から女の子が!」 「ダァニィ!?(何ぃ!?)畜生、何処だ!?」 「上から来るぞ、気をつけろぉ!」 ゴツッ!! 二人が馬鹿なやり取りをしていると、本当に空から女の子が落ちてきた。 そして桂馬は頭と頭でごっつんこして……。 「グフッ……我が生涯に…一遍の悔い無し……。」 ガクリ 「おい、桂馬!」 満は桂馬の肩を掴んで揺さぶる。 「返事が無い。ただの屍のようだ。」 「桂馬?……ケエェイマアアアアァ!!!」 桂馬はここで気絶した。 「ふにゃあああ……。」 空から降ってきた女の子もくるくる目を回して意識不明。 「くそ、早く保健室に運ぶぞ!急げ!」 そんなこんなで、彼らが織り成す物語が始まるのだった。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加