一話~天使は馬鹿?~

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「……ん……。」 目を開けるとオレはベットに横になり、橙色に染まっている天井を見ていた。 上半身を起こし右にある窓から外を覗くと、日が傾いている。 「ここは……?」 前方には色々な薬品が並べられている棚。 「保健室…なのか?オレはなんでこんな所で寝てるんだ?」 そのまま顔を左に向けるとそこには。 「あ、目、覚めたんですね。」 身長は低く150もない。 黒く、長い髪。 黒い瞳。 そして黒い、ゴスロリデザインのふわふわな服。 「よかったです、無事で。」 それだけでも特徴的なのに、彼女の頭上と背中には 「私は天界から来た天使です。名前はセ……じゃなかった、 『神埼 優奈(カンザキ ユウナ)』 と言います。」 光り輝く輪と、純白の翼があった。 「て、天界?天使?」 「はい、そうです! 私は修業するために、この地上に降りてきたんです。」 駄目だ、頭が追いついていない。 全く理解できない。 非現実的だ。 天界? 天使? 人間が生み出した空想上のものだろ? いや、だが見てみろ。 目の前の天使と名乗る少女の翼は動いている。 これは……マジで……本物? ま、まあ落ち着けオレ。 冷静になるんだ。 「で、あんたは何の修業に来たんだ?」 そう聞くと不機嫌そうに顔をしかめる。 「あんた、じゃないです。私は神埼 優奈です。」 「あ、ああ。分かった。神埼は何の修業をしにきたんだ?」 言い直すと機嫌は良くなったらしく、笑顔で答えた。 「人間をよく知り、立派な大天使になるための修業です。」 大天使……。 まあ、分かりやすい単語だな。口ぶりから考えると、おそらく天使の上位階級だろう。 よく分からない横文字を使われるのかと思ったが、その心配は無用だったみたいだ。 「因みに修業とは具体的に何をするんだ?」 「ホームステイです。人間のことを知るには人間と一緒に過ごすのが一番! ということで、地上の人間と一緒に生活をするのです。」 「で、宛はあるのか?」 「はい!確か……『旗士 和博(キシ カズヒロ)』さんのお宅にお世話……」 「ちょっと待ったああああああ!!」 待て待て待て待て、その名前は聞いたことがあるぞ!?
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