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◆戯れの帰路◆
学校を出たころには、日はとっぷりと沈みあたり一面はすっかり薄暗くなっていた。
梨花と私の家の距離は結構近い。
なので登下校はいつもこうして二人仲良く寄り添い、ぺちゃぺちゃと他愛ない会話を交わし歩く。
「のどかのどか、こないだ一緒にいったファミレスのパフェまじやばかったよねえ~っのどかも味見したでしょ?? あれは神の味だよ神の味っ」
…神の味ね…
本人いわく凄く美味しいという意味らしい。
梨花は同じ言葉を二度繰り返したり、たまによく分からない用語をつかうため意味がわからない時がある。
【ギガント萌え】とか。
…そういうの俗語、ていうのかな。
よくわからない。
「あの味はわすれられないよぉー」
梨花は味を思い出したかの様に両頬をそっとなでやり、うっとりニヤニヤしながら言った。
小柄な身のわりに彼女は愛食家で、ファミレスとかコンビニだとかの新商品に対してめざとい。
「…私はあれちょっとパス…甘いの好きな人には美味しいんだろうけど私は甘党じゃないからな」
大して別に興味もない私はなるたけそっけなくならない様に返事をする。
でかいデザートグラスいっぱいに敷き詰められた角ぎり一口大のチョコレートケーキ。
その上にまたまた甘いベルギーチョコレートをタプタプにかけたチョコ、チョコ、チョコ、チョコレート三昧のただひたすら甘いパフェを梨花が見事たいらげた時は、正直見ていてこっちが異様な満腹感と吐き気に襲われたのを覚えている。
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