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「偉いよねのどか、私なんてまともに包丁握れないし、料理なんて…おにぎりしか作れないしぃ…」
いいながら梨花がおにぎりを握る仕草をする。
「嫁入り前になる年頃の女の子が、それ位出来る様になりなさいよ」
褒め言葉がなんだかむずかゆくて、照れ隠しに梨花にチョップをかましてやった。
このこは一見おっとりしてて、どこか危なっかしい感じだけど、何かと細かな所で気を利かせてくれる。
家に帰れば一人になる私を、彼女なりに気遣ってくれて
買い食いだっ!
息抜きタイムだっ!
とかなんとかいいだしファーストフードでお喋りしたり、下校の帰り夕飯の買い出しも一緒にしてくれる。
家庭的に恵まれた彼女からしたら、独りという時を多く過ごしている私が、きっと可哀相で寂しく見えるのだろう。
それが当たり前だった私は、梨花とこうして過ごす内に自分が独りで当然だというレッテルを張ることで、寂しさを紛らわしていたのだという事に気付けたのも事実だった。
放課後の二人のお勉強会も、彼女の気遣いのひとつなんだろうと思う。
…そのうちの三割は、少なくとも通信簿がピンチな彼女の私へのヘルプだろうけどね。
うん。
これは間違いない。
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