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…花びら…?
ううん…違う。
『ソレ』は風に舞う訳でも無しに、ただフワフワと、向かい側の遮断機の信号の上で停滞している。
私は目を凝らし『ソレ』を見据えた。
……蝶々…?
うん、蝶々だ。
でも…少し、普通とは…違う。
桜の花びらみたいに小さい『ソレ』は、本当にどこもかしこも真っ赤で…まるで…血を吸って咲いた花のよう………
ほんのり、蛍みたいな小さな光を帯びた羽をヒラヒラとはばたかせていた。
綺麗…
幻想的で…だけど真っ赤な鮮血色の羽はどこか不吉を思わせられて私は少しゾクリとさせられた。
……何…あれ?
私は、遮断機から身を乗り出して、吸い寄せられるようにして『ソレ』に食い入り見とれていた。
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