◆放課後の二人◆

2/7
前へ
/30ページ
次へ
不満を含んだ甘えた声で机の上に開いた教科書とノートを交互に、トントンと指す。 「 やだーっ意味不 この方程式理解不能なんだけど…っねえっ教えて 」 だらしなく座り四肢をばたつかせながら、梨花が小さな子供の様に歎く。 いやいや…この方程式、今日授業で説明されたばかりだよね。 と思ったけど、とりあえず口にださず飲み込んでおく。 「 梨花、ここはね…こう。」 小さく篭ったため息を悟られない様につき、私はシャーペン片手に式を説いてあげる。 とたん梨花はうんうんと嬉々とした様子で頷き笑うのだった。 「 のどか頭いいよ、すごいすごいっ!!!! よくこんなん分かるよねえ、あたし文系だしこういう図形とかマジむずいよ 」 理系文系だとか、そういう問題じゃないと思うけど… 私、自慢じゃないけど至って平凡な成績だし。 この子は授業中に仮病を使い保健室に遊びにいったり居眠りしてるし… やる気がないから根本的に、駄目なんだよね。 …本人に面とむかってはいえないけど。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加