◆放課後の二人◆

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梨花は、そうやって褒め上手で相手をいい気にさせる術と、愛想を売ることを知ってる。 こればかりは天性のものなんだなと、感心さえする。 皆から好かれるのもわかるというものだ。 …私も梨花のコロコロと笑う、愛くるしい笑顔が好きだから。 今、こうして人をいい利用価値扱いしてくれている訳だけど、向こうは軽い気持ちで悪気なんて点でないのを知ってるし、頼られる事に関して悪い気もしない訳で私もついつい手伝ってあげてしまう。 どんな行動も、梨花だと愛嬌が上手いことカバーしてなぜかと憎めないのだ。 だけどひとつだけ 私の中で消化できない事もあった。 「休憩時間も休まずお勉強だなんて、いつもいつものどか偉いねっ」 その時の梨花の言葉だけは、私の胸に鋭い刃となって突き刺さった。 私の腹の底から黒い何かが、ふつふつ沸き上がってくる感覚に捕われたのを覚えている。 煮え切らない私には、今もその言葉の刃が胸の奥にぬけきれず食い込んでいる。
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